ダイワの「25 ブラックレーベル SC S64L-ST」のインプレをお届けします。
オカッパリという制限された環境において、僕たちアングラーが持ち歩けるロッドの数には物理的な限界があります。
もし、ベイトロッドの他に「スピニングを1本だけ」持っていくとしたら、あなたは何を選びますか?
軽くて繊細なだけのフィネスロッドでは、いざカバー周りで掛けたデカバスの引きに主導権を握られてしまい、為す術なくラインブレイクで終わります。
逆に強すぎるロッドでは、タフな状況下でライトリグを繊細に操り、スレ切ったバスに口を使わせることができません。
その矛盾する要求に対し、日本のオカッパリの頂点に立つ川村光大郎氏とダイワが導き出した一つの完成形。それが「ショアコンペティション(SC)」シリーズであり、今回紹介する「フィネスバーサタイル」モデル、SC S64L-STです。
25 ブラックレーベル SC S64L-ST のカタログスペック

このロッドがどれほどのポテンシャルを秘めているのか、まずは正確なスペックから見ていきましょう。
| 項目 | 内容 |
| 全長 | 1.93m(6フィート4インチ) |
| 継数 | 2(グリップジョイント) |
| 仕舞寸法 | 168cm |
| 標準自重 | 83g |
| 先径/元径 | 1.5mm / 10.6mm |
| ルアー重量 | 0.9 〜 7g(1/32 〜 1/4oz) |
| 適合ライン | 2.5 〜 6lb(PE:MAX 1.0号) |
| テーパー | ファスト(F) |
| カーボン含有率 | 99% |
自重83gという驚異的な軽さ。
あのハイエンド機である名竿「スティーズ SC ファイヤーフラッシュ」の設計思想を、ブラックレーベルという器に見事に落とし込んだ、まさに現場で戦い抜くためのスピニングロッドです。
「への字テーパー」がもたらす、底質感知の魔法

このSC S64L-STを語る上で絶対に外せない最大の武器、それはティップに搭載された「中弾性メガトップ(ソリッドティップ)」の存在です。
根掛かりを躱し、質感を伝える「絶妙な張り」
ただ柔らかくて食い込みが良いだけのソリッドティップなら、世の中にいくらでもあります。しかしこのロッドは違います。ティップの先端部分だけがスッと入り、そのすぐ下で絶妙な張りを持たせる、ダイワ独自の「への字テーパー」に設計されています。
例えば、ネコリグやダウンショットリグをボトムでズル引きした時。水中の石ころ一つ、沈み木の枝一本にシンカーが触れた瞬間、この絶妙な張りのあるソリッドティップが柔らかく追従してスタック(根掛かり)を躱しつつも、手元には地形変化の質感をクリアに伝えてくれます。
意図的な「モタれ」が生む食わせの間
さらに特筆すべきは、ストラクチャーにルアーを「意図的にモタれさせた状態」での操作性です。ティップの先だけが仕事をしてくれるので、ルアーが必要以上に手前に寄ってきません。そして、バスが違和感なくルアーを吸い込んだ瞬間に、モタレていたティップがスッと無抵抗に入り込む。
ボトムの釣りにおいて、これほど水中の解像度を上げ、アングラーを助けてくれるティップは他にありません。
SVFとX45Xが生み出す、真のバーサタイル性能

ティップが極めて繊細な一方で、ベリーからバットにかけてはダイワの誇る高弾性カーボン「SVF」を採用。極めて高反発で筋肉質なブランクスに仕上がっています。さらに「X45X」テクノロジーによって、ネジレを極限まで抑え込んでいます。
軽量ルアーを網羅する守備範囲
この「剛」と「柔」の極端なギャップこそが、フィネスバーサタイルと呼ばれる理由です。およそオカッパリで出番の多い軽量ルアー全般(スモラバ、ネコリグ、小型シャッド、ミノー、虫系など)を、たった1本で高いレベルでこなしてしまいます。
Lパワーにしては十分すぎるリフティングパワー
そしていざ魚を掛ければ、Lパワーのスピニングロッドにしてはしっかりとしたリフティングパワーを発揮します。カバー周りでのギリギリの攻防においても、この筋肉質なバットが確かな安心感をもたらしてくれます。
実際に使ってみた率直な感想

ここからは、僕がフィールドで実際に使い込んで感じたリアルなインプレッションをお伝えします。
無骨なデザインと、価格に見合う確かなテクノロジー
まず、ブラックレーベル特有の無骨でストイックなデザインには非常に好感が持てます。初代と比べると高価な価格帯にはなりましたが、その分ダイワの最新テクノロジーが惜しげもなく詰め込まれています。価格は高いですが、それに見合った最高の使い心地は間違いなく保証してくれます。
秀逸な「掛け感」とコンパクトなフッキング

キャスタビリティが良いのは言うまでもありませんが、僕が最も驚いたのは「魚の掛け感」がとにかく秀逸だということです。
フッキングの動作が非常にコンパクトで済みます。少し極端な言い方かもしれませんが、アタリを感じたら手首をちょっと捻って、ロッドを上にスッと上げるぐらいの動作で、しっかりと魚にフックアップするんです。ゼロシート(シームレスフィット)による手との一体感も相まって、この掛け感の気持ちよさはクセになります。
サイトフィッシングと「とりあえずの1本」に激しく推奨
全体を通して、とにかく使いやすい。まさに「ど真ん中」といった仕様です。スピニングロッドなので当然ではありますが、広範囲をサーチするような釣りよりも、見えバスを狙っていくようなサイトフィッシング的な使い方に非常に長けています。
僕みたいに普段はあまりスピニングロッドを使わないけれど、「いざという時のために、とりあえず信頼できる1本が欲しい」というアングラーには、激しくお勧めしたいロッドです。
まとめ

ダイワ 25 ブラックレーベル SC S64L-ST。
このロッドには、最高級の装飾も、所有欲を満たすだけの華美なデザインもありません。ただひたすらにストイックな無印の道具です。
しかし、オカッパリという過酷な現場で、アングラーの意図を完璧に水中に伝え、掛けた魚を確実に獲る。その実釣性能だけを極限まで研ぎ澄ませた、実力派の一本です。
もし僕が、スピニングロッド1本に全てを託して結果を出し続けたいと願うなら、この質実剛健の極致を迷わず右腕に迎えます。
以上、ありがとうございました。
