あれは2年前の初冬頃でした。ある日、僕の体のとある部分に異変があることに気がつきました。
それは、皮膚の下に出来たプックリとした腫れ物でもないコリコリしたシコリでした。
発見した時、自分の心が鈍色に染まっていく感覚は今でも忘れられません。(たぶん。)
あぁ住宅ローンはどうだっけか・・・保証でなんとかなるんだろうか・・・車のローンは完済してるか・・・家族の今後はどうなるんだ・・・HDDにマズイものは残ってないか。
絶望と不安に打ちのめされ、重い足取りで病院の門をくぐりました。
“僕の余命はあとどのくらいですか?”
“家族への告知は僕のタイミングで知らせたいと思います。”
“HDDは燃えるゴミですか?”
最悪の事態を想定してドクターとの会話を頭の中でシュミレートします。
待合室でその時を待っている時はビックバンが何故起こってしまったのか、何故宇宙は奇跡を重ねたのかを考えていたような、ぼんやりと絶望に浸っていたのか覚えていません。
ただ生きた心地はしませんでした。
そして、名前が呼ばれ診察室へ・・・運命の時が訪れます。
ドクター:「ラッシャーセ」
ドクター:「今日はどうされましたか〜」
僕:「シコリができました。もうダメかもしれません。」
ドクター:「・・・腫瘍っスネー」
以外にもライトな告知に軽い目眩を覚えながら、事前シュミレートしておいたセリフを・・・
僕:「秘蔵の動画集・・・」
ドクター:「良性腫瘍スヨ。アテローム・・・えー粉瘤ってヤツです。」
ドクター:「まだちっちゃいんで気にしなくていいケド、気になるなら切っちゃってくだサーイ。」
ドクター:「とりま、紹介状書いとくんでオペする時はそっちでやっちゃってネ。」
僕:「???ありがとうございます???」
ドクター:「アイヨー、マイドー。お大事にー。」「次のカター、ドゾー。」
あまりに呆気なく終わった診察、取越苦労だったのか・・・?ていうかセカンドオピニオンした方が良いのか?
まぁいいか。
そして、あの衝撃の出来事から約2年。
小さかった粉瘤をほったらかしにしていたら、みるみる成長して立派にでかくなってしまった。その大きさはなんとゴルフボール一個分。流石に通常生活でも目立つし邪魔になってきました。
ということで2年前に作ってもらった紹介状を片手に大病院でオペを受けることにしました。受付で紹介状を渡すと、紹介状の作成した期日について2度も確認されてしまいました。
有効期限が切れているのか?と質問したところ特に期限はないようで2年越しで来院するのが珍しいとのこと。
2年越しの診察でもアテロームの診断。ホッと胸を撫で下ろす。
で、サクッとオペ。
オペの内容はエグすぎてお教えできませんが、堪え難い恐怖に気絶寸前でした。
気絶はなんとかこらえたものの、オペ中に急激に掛かったストレスを発散する方法が見当たらず、リアルに泣きました。
オペ後、涙目で
「釣り行っていいすか?」とダメ元で聞いてみると、「安静にしてくださいね。」と常套句を耳の穴にねじ込まれ、術後5分も経っていないのに退室を促された。
えーということで。僕、ボトムノックは安静にするため、とりあえず傷口が塞がるぐらいまでは釣行の方は自粛したいと思います。
長々と乱文駄文失礼致しました。